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人生は計画通りに進まないから面白い!

卒業生の活躍

人生は計画通りに進まないから面白い!

商学部商学科を2000年に卒業した新井卓二です。現在Arai LAB新井卓二研究室を主宰しながら大学等で教鞭をとっています。振り返ればこれまでの道のりは決して平たんではありませんでしたが、母校の存在をはじめ、多くの協力があっての今があります。今回は自身が走ってきた時間を少し振り返りながら、起業を目指す方や、在学生の卒業後の活躍の一助になれば幸いです。

どちらかというとバスケット中心の学生時代

1996年に明治大学附属中野八王子高等学校を卒業後、明治大学商学部商学科へ進学、そして2000年に卒業しました。当時よく聞いていた音楽はSMAPやGLAYで、ちょうどSPEEDがデビューした頃だったと思います。また、大学4年の時にリバティータワーが完成し、「これでクーラーで涼める♪」と思ったことを覚えています。

大学時代、体育会バスケット部に所属していました。毎日体育館には通っていましたが、講義の教室にはほとんど行かず(前述のクーラーのことはさておき…笑)、決して勤勉な学生とは言えませんでした。

それでも、友人たちのおかげで単位を取得することができ、無事卒業できました。そんな私が今、大学で教鞭を取り、学生たちには授業に出ることの重要性を伝えています。自分自身はもちろん、当時の友人たちも驚くだろうと思いますし、現在の私の職業を知ったら、彼らはきっと冗談だと思うでしょう。

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私の研究「健康経営」について

現在、大学で経済学やマネジメントを教えています。研究では主に「健康経営」に焦点を当てています。巡り合わせが良かったのか、近年、健康経営が注目されるようになり、活動の幅が広がり、2冊の本を出版することができました。また、人事院の有識者委員などにも選ばれ、沖縄県や東京都からも講演の依頼が来ています。

健康経営を研究しようと思ったきっかけは、以前サラリーマンとして人事部で働いていた経験から、多くのメンタル不調者を目にしてきたからです。これからは従業員本人ではなく企業が従業員の健康をサポートする時代が来ると感じていました。

転機が訪れたのは約9年前(2015年)のことです。経済産業省が健康経営※1の普及促進に本格的に旗を振り始めたのです。健康経営という言葉を聞いて、直感的にその必要性を感じた私は、迷わず研究を始めることにしました。現在、上場企業の3割、全国の中小企業1万7000社が健康経営に取り組んでおり、新たな経営戦略として定着しつつあります。

今考えると本当に運が良かったと思いますが、研究を始めた当初は健康経営が社会に受け入れられるとは想像もしていませんでした。ただ、研究対象がなくならない程度に、ある程度普及することを願っていました。今では、経営学の視点から健康経営を分析し紹介する第一人者として(誰も言ってくれないので自分で言いますが…笑)、公的機関からの依頼も受けるようになったのです。

※1:経済産業省 健康経営
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html

伝えたいことは3つ(在学生へ向けたメッセージ)

様々な経験を得たからこそ伝えられることとして、在学生の皆さんにメッセージを送りたいと思います(卒業生の皆様には振り返りのきっかけになればと思います)。

1つ目は、生涯の友達を作ること

2つ目は、何か1つに一生懸命はまること

3つ目は、失敗し、それをリカバリーする経験を持ち、楽しむこと

生涯の友達を作ること

敢えて理由を述べる必要はないでしょう。ぜひ一つの枠にとらわれることなく、先生を含め多様な人と友人関係を築くことをお勧めします。それが人生に新たな彩りを添え、将来を豊かにしてくれるはずです。

エピソードを一つ紹介します。私は大学3年から卒業論文のゼミナールを履修しましたが、真面目に受講したとは言えませんでした。その時の先生には大変なご迷惑をおかけしてしまいました。

しかし、それから約20年後のことですが、大学院博士課程に進学し、とある学会で発表した際の審査員がなんと大学時代のゼミナールの先生だったのです。当然、すぐ謝りに行きました。この経験から伝えたいことは、世の中は思っている以上に狭いものです。誰とでも仲良くしておいて損はないということです。

何か1つに一生懸命はまること

2つ目は私のキャリアに関係しています。私は大学を卒業後、10年近くサラリーマンとして働き、その後、明治大学ビジネススクール(大学院修士課程)に進学しました。そして、起業して10年ほど小さな会社を経営しながら、大阪大学で博士課程を修了。その後大学の教員に転職ました。

これらの経験はすべて計画的に実行してきたものではありません。その時々で精一杯生きること(生きなければならなかったこともありました)が、このようなキャリアに繋がったのです。つまり、一つのことに没頭することは大変ですが、必ず次のステージへと導いてくれるということを伝えたいのです。

失敗し、それをリカバリーする経験を持ち、楽しむこと

そして3つ目は、乗り越えられない壁にぶつかることです。挫折を経験することで次のステージに生かす方法が身に付くはずです。私は中学、高校、大学とバスケットボールをしていましたが、大学の体育会では全国から集められた優秀な選手たちと対等に競い合うことはできませんでした。そこで私は、それまでバスケットに多くの時間を費やすことを諦め、自分の得意なことで勝負することがメンタル的にも良いことだと学びました。

そしてこれが最も重要ですが、物事が計画通りに進まないことを楽しむことです。人生が計画通り進むことは稀であり、たいていは困難に満ちています。だからこそ、それを楽しむ気概が必要なのです。「生きているだけで丸もうけ」「死なない限り、すべてかすり傷」の精神で、人生を楽しんで欲しいです。

最後に、私の数少ない経験からではありますが、これから社会人になる、または既に社会人になっている皆さんに伝えたいことは、「諦めずに行動し続ける」ということです。多くの人はアドバイスを受け取ったり、成功している人の話を聞いたり、本を読んだりして、気づきを得ることができます。しかし、実際に行動に移す人は意外と少ないものです。

私は,モデルとなる人を見つけたら、その人を追いかけ、なぜそのような行動を取っているのか、どんな取り組みをしているのかを推測し、私自身もそのように行動します。皆さんもぜひ、モデルとなるような人を何人か見つけ、その人の行動を参考にしながら、自分らしい人生を歩んでほしいと思います。

皆さんの益々のご活躍を楽しみにしていますし、いつかどこかでお会いできることを期待しています!

筆者のプロフィール

新井卓二 (あらい たくじ)  Ph.D. MBA
2000年商学部商学科卒

明治大学・講師(非常勤)
ビューティ&ウエルネス専門職大学・専任教授
山野美容芸術短期大学・特任教授
新井研究室主宰
日本ヘルスケア協会健康経営推進部会 副部会長
社会的健康戦略研究所 運営委員 特別研究員
経済産業省の委員、人事院の有識者等歴任

証券会社勤務を経て、ヘルスケアの株式会社を起業し売却。その間明治大学ビジネススクールTA、昭和女子大学研究員、山野美容芸術短期大学を経て現職。著書に『経営戦略としての「健康経営」』、「ヘルスケア・イノベーション」、「最強戦略としての健康経営」、「ビューティー・ビジネス」等、他健康経営の論文多数。

Arai LAB
https://arailabo.com/