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ペットも健康志向時代。大切な家族だから守りたい

卒業生の活躍

ペットも健康志向時代。大切な家族だから守りたい

みなさんこんにちは。2023年3月明治大学大学院農学研究科農芸化学専攻修了の合田圭佑です。現在、ペットの「食」に関する企業であるSympal社を立ち上げ経営しています。Sympal社は明治大学のビジネスコンテストから誕生した第1号のベンチャー企業で、販路の開拓や候補など、大学からサポートを受けているのも大きな強みとなっています。今回はペットに関する起業のきっかけと活動内容について紹介したいと思います。

出会いは高校1年生の時

起業につながる犬との出会いは高校一年生の時。学校から帰宅すると目の前にトイプードルがいました。家族として迎えた犬の名前は、「ここりん」。2024年9月には11歳(現在10歳に)になります。ここりんは生まれつき肝臓が悪いため、食事には気を使っています。しかし、食べムラがひどく、食事に30分かかることもしばしばあります。健康に良いものでも食べてくれなければ意味がありません。おいしく、健康的なごはんがあればいいなと漠然と考えていました。

そういった状況を毎日眺めては、愛犬のドッグフードへの興味がずっと心の中にあり、食品の栄養や衛生に関して学ぼうと、明治大学農学部農芸化学科に進学しました。

在学中は独学でペットの栄養学と衛生を学ぶ

大学では栄養学や食品衛生学などを学びながら、独学でペットの栄養学と衛生について学びを深めました。食品とペットフードの違いを調べたところ、次のことがわかりました。

■人が口にする食品とペットフードは全く別物として扱われる

■食品の管轄は厚生労働省、ペットフードは農林水産省と管轄が異なる

■ペットフードは「飼料」に近い扱いのため、衛生面、加工法、表示などの基準が緩い

それ以降、ペットフードも食品と同等の原材料品質・衛生面が担保されるべきだという想い、そしてペットの健康寿命を少しでも延ばしたいと考え起業を決意し、後のSympal社の創業につながることになります。

大学1年生の時にすでにペット業界に携わりたいと考えていたことから、動物病院や動物救急センター、ペットテックのスタートアップ企業の社長など多くの方々からお話を伺いたいと思いfacebookやメールでアポイントを取り、自分がどのようにしてペット業界に関われるのかを模索しました。

面談先からいただいた様々なアドバイスをもとに、改めてペットフードに着目することにしました。その際に、大学で学んでいる知識を活かすことが事業の基盤になると考えたのです。なぜ人間から見てペットフードは美味しそうに見えないのか(少なくとも食べたいとは思わない)、なぜ人間は食べられないのかなど疑問が山のように浮かびました。

そんな中、The Farmer’s Dogというアメリカの企業がseries A※1の資金調達のニュースをたまたま目にしました。この企業は人間と同じ食材・加工法でペットフードを提供していて、それまで自分自身が抱いていた「従来のペットフードではなくペットフードも人間が食べられるべきではないか」というモヤっとした考えが、その企業の事業内容をみて確信に変わったのです。

そこからペットに関する論文を探しては読み漁る日々が始まりました。ペットは毎日同じペットフードを基本的に食べるため、完全栄養食※2(ペット業界では総合栄養食)の設計を目指すことにしました。さらにペット栄養管理士の資格を取得後、D2C※3でペットフードを販売している企業を調べるなど、次々と必要な情報を集めていくなかで、その段階ですぐに分かったことが2つありました。

1つ目は、ペットフードの製造では、獣医師が監修するケースが多いこと。

2つ目は、ペット栄養学では病気に対して栄養面からアプローチすることをメインで学んでいること。

専攻が農芸化学だったこともあり、健康維持などのアプローチを学んでいたのでここで差別化が可能になると考えました。

※1 series A:シリーズAラウンドは、企業が、最初の重要なベンチャーキャピタル出資を受ける段階を指す名称

※2 完全栄養食:健康を維持するために必要な栄養素を満たす、バランス栄養食のこと。 一般に、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」に基づき、1食あたりに必要とされる栄養素を1つの食品で満たすものを「完全栄養食(完全食)」と呼ぶ。

※3 D2C「Direct to Consumer」の略で、「製造者がダイレクトに消費者と取り引きをする」という意味

犬の寿命が延びた分、人間と同じ病気にかかることも多い

栄養学と獣医療の発展により40年前は平均3歳程度であった犬の寿命は急速に延びました。同時に、がんや認知症など老化に関連する病気が近年問題になっています。ヒアリング結果を経て、飼い主には「食べてくれない」、「ドッグフードの品質に安心できない」、「老化による体の変化」といった3つの悩みがあることや、これらの課題すべてを満たしているドッグフードはまだ市場に出回っていないことが分かりました。

それらを踏まえて、mydish(自社ブランド)ではおいしさを追及するとともに、従来のペットフードではほとんど含有されていない、アスタキサンチンなど老化対策に特化した原材料を配合し、ペットの健康寿命を延伸することを目的としています。さらに、食品工場で製造を行うことで人間も食べられるドッグフードを完成させました。それがmydishのコンセプト「おいしい」「安心安全」「健康的」に繋がっています。

ペットは家族 しかしその命は短い

アメリカですでに高価格帯のペットフードを扱うマーケットが出来上がっています。日本ではまだごく一部ですが、愛犬に元気でいてもらいたいと考える飼い主が、ドッグフードに対しても健康機能を求めるようになっています。

ペットは家族です。しかしながらその命は人間の20%以下と短く、およそ15歳までといわれています。大切なペット(家族)との生活を1分1秒でも長くすることが、人間の幸せにもつながります。弊社ではまずはペットの健康寿命を5年(人間にすると20年)伸ばすことを目標に進んでいきたいと思います。

mydishは2024年9月にオーラルケアサプリメント、2024年12月にドッグフードを、順調に進めばキャットフードも販売する予定です。今後はアレルギー、肥満、心臓、腎臓など、愛犬の一生に寄り添ったラインナップを展開していきたいと考えています。

販路としてはドラッグストアやコンビニ、ドッグランやペットサロンといった日常生活で訪れる場所や、マルシェでの直売、オンライン販売など購入しやすい方法を検討しています。また、ホテルやカフェでのペットメニューを開発してブランド認知度を上げていくことも想定しています。

創業から1年ほどですが、多くの明大OBOGの方に助けられています。特に「食」の領域では明大農学部出身の方とお会いする機会が多々あり、応援いただいております。ご支援いただいた分、しっかりとペットの健康寿命延伸に貢献していく所存です。明治大学の卒業生の皆様のペットの健康にも貢献できたらと思いますので、弊社のホームページまたはSNSからご相談ください。

※2024年6月よりブランド名はMEDIFRESHからmydishへ変更いたしました。

2023年3月
明治大学大学院農学研究科農芸化学専攻修了
合田 圭佑

参 考

Sympal(シンパル)株式会社
https://sympal.co.jp/  

受賞歴等

明治大学主催「第1回明治ビジネスチャレンジ」優秀賞(第一号ベンチャーとして創業)

発表事業内容:機能性フレッシュドッグフード「MEDIFRESH※」
https://meijinow.jp/activity/focus/88389
(https://www.meiji.ac.jp/keiei/features/m-abcobog.html)

栃木銀行主催「第8回とちぎんビジネスプランコンテスト」特別賞(とちぎんリーシング賞)

発表事業内容:機能性フレッシュドッグフード【MEDIFRESH※】
(https://www.tochigibank.co.jp/download/pdf?fileNo=2951&backF%20=%201)

(https://www.youtube.com/watch?v=e_TT4K7m63A)

千代田区主催「千代田CULTURE×TECH ビジネスコンテスト 2024」ファイナリスト

発表事業内容:機能性フレッシュドッグフード「MEDIFRESH※」
(https://culture-tech.city.chiyoda.lg.jp/events/292/)

WFUNA(国際連合協会世界連盟)主催「Global College Startup Impact Hackathon」にてピッチ

発表事業内容:Functional Fresh Dogfood Brand「MEDIFRESH※」
(https://wfuna.org/sustainable-development/global-college-startup-impact-hackathon/)